円相場は1ドル108円と昨年7月以来の最安値に下落した。

３月５日の東京外国為替市場では、米国の長期金利上昇などの影響を受け、米ドルが買われ、円安・米ドル高となった。一時は１ドル＝１０８円まで上昇し、昨年７月以来の円の対ドル安水準となった。

３月４日の東京外国為替市場の前場のドル／円為替レートは前営業日比０．１３円高の１０６．９９４円付近で始まった。翌日の東京外国為替市場では、ドル／円の為替レートは前営業日比0.86円高の107.948円付近で始まった。

米国の長期金利が再び上昇していることを背景にドル円は上昇を続け、一時108円を突破して高値で引けた。

これまで米国が発表した経済データはいずれも不十分なもので、特に公式雇用統計の前兆となるADP民間部門雇用者数伸び率は市場予想を大きく下回った。米連邦準備制度理事会（FRB）が金融緩和政策を延長するとの市場の予想や、政府がより大規模な景気刺激策を導入するとの見通しも相まって、長期金利はさらに上昇した。

日本市場関係者は「パウエルＦＲＢ議長の４日の講演では、米国の長期金利上昇に対する強い警戒感は示されなかった」と指摘。

しかし、東京市場の金利は海外市場に追随して高くなっていることから、日本の長期金利の低下や日米金利差を踏まえると、米ドル買いが進行中、もしくは既に行われている可能性が高い。

足元では市場が敏感になっており、米ドル/円の為替レートが大きく変動する可能性も否定できないほか、ストップロス取引が相場材料に及ぼす増幅効果にも注意する必要がある。

テクニカル面では、米ドル/円為替レートは終盤の取引でレンジ上限に沿って上昇を続け、短期的には強い上昇傾向を示している。米国の長期金利は中期的に上昇傾向を維持し続けており、日米金利差がさらに拡大する可能性があるため、日本の売り手側もより注意を払う必要がある。

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